コンディションデータ管理システム「ONE TAP SPORTS」を用いたスポーツ外傷・障害サーベイランス

DOI
  • 山中 美和子
    株式会社ユーフォリア ユーフォリアスポーツ科学研究所

抄録

<p>【はじめに】</p><p> 株式会社ユーフォリアが提供するアスリートのコンディション管理システム「ONE TAP SPOTS」には、チーム内で発生したスポーツ外傷・障害データを集積する機能がある。この機能を利用することにより、日本臨床スポーツ医学会と日本アスレティックトレーニング学会が共同で発表したスポーツ外傷・障害および疾病調査に関する提言書の推奨に概ね沿った調査項目に関して外傷・障害データを蓄積することができる。株式会社ユーフォリアでは、特定のリーグに所属する全チームにこの機能を利用してもらい、各チームのメディカルスタッフと連携を取りながら外傷・障害サーベイランスを実施したり、特定の研究目的のために競技横断的に外傷・障害調査を実施している。本セッションでは、我々が実施する外傷・障害サーベイランスの概要を紹介する。 </p><p>【方法】</p><p> リーグ単位で外傷・障害サーベイランスを実施するにあたり、株式会社ユーフォリアが施行した取り組みは概して次の3点である。1) 外傷・障害データ入力に関するガイドラインの作成・共有、2) チームのメディカルスタッフと毎月の入力に関するフォローアップ、3) 外傷・障害データに関するレポート作成。 </p><p>【考察】</p><p> 外傷・障害サーベイランスでは、実施者 (上記の例の場合、株式会社ユーフォリア) がスポーツ現場でのデータ入力に携わらないため、データの質 (e.g., 欠損や入力エラーの有無) は各チームのメディカルスタッフに依存する。そのため、各チームのメディカルスタッフのデータ入力へのコミットメントや外傷・障害調査への理解度を高めることが喫緊の課題であった。毎月のフォローアップはチームのメディカルスタッフに対してデータ入力のリマインド機能を果たした上に、コミュニケーションの契機となり、彼らが抱えるデータ入力に関する不明点をサーベイランス実施者が抽出することができた。また、試合シーズンの中間や終了後にリーグ全体の外傷・障害データの特徴や傾向を発表することで、データ入力へモチベーションを維持・向上することができたのではないかと考察する。 </p><p>【結論】</p><p> 外傷・障害サーベイランスはそのスポーツの統括・運営組織が選手の健康や安全により配慮した環境を構築し改善し続けるために必要不可欠な取り組みである。サーベイランスの導入段階では、定期的なフォローアップなど、データの入力者への支援が有効であることを我々は経験的に学んだ。 </p><p>【倫理的配慮】</p><p>本発表は個人に関する情報に該当しない情報のみを扱う。</p>

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