バドミントンにおけるスポーツ障害の0次および 1次予防

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抄録

<p>疾病の予防は,発生から治療に至るプロセスに対応して,0次, 1次,2次,3次と4つの段階に区分されており,それぞれの段 階で,疾病と因果関係を持つ様々な要因に対応する対策が取られる.スポーツ領域での予防は,疾病ではなく主に障害の発生を防ぐことを目的に,FIFA11+に代表される様々な障害予防プログラムが実践されている.これらの障害予防プログラムは,障害発生のリスク因子を調査した既存の研究成果に基づき考案されている. バドミントンにおける障害調査の多くは下肢関節に障害・外 傷が好発すると報告しており,またサッカーなどのメジャースポーツに比べ報告数は限られるがリスク因子を調査した研究も散見される.こうした研究成果に立脚し,バドミントンにおいても同様に早期の障害予防プログラムの考案・実施が必要である.一方,スポーツ現場でバドミントン選手と関わる中で,障害が下肢だけでなく上肢や体幹に発生する場面を経験することは少なくない.バドミントン選手における障害は,性別や年齢,練習形式によって発生部位が異なることが報告されており,限られた報告の中での障害予防プログラムの考案には限界があることが予想される.つまり,バドミントンの現場レベルではチーム内での様々な要素・条件を考慮し,チーム独自のオリジナルな障害予防プログラムの考案・実装が重要であると考える.本セッションはバドミントンにおける0次および1次予防に着目し発表する.0次予防とは障害発生の原因に関する環境・行動的条件を最小限に留める対策である.現場レベルでは立案された障害予防プログラムを選手自らが意欲的に実践するための方法にあたる.1次予防とは障害発生率を減少させるため,その原因の改善に向け取られる対策である.現場レベルでは障害発生のリスク因子を明らかにし,その改善に向けた障害予防プログラムを立案することにあたる.特殊な器具を必要とせず,スポーツ現場レベルで練習量・内容,タイトネスなどの選手固有のリスク因子を調査し,障害予防プログラムの考案・実装に至るための取り組みを報告する.また,現場レベルでは評価・定量化が難しい項目として,動作観察に基づくリスク評価が挙げられる.バドミントンにおける基本動作であるランジ動作を対象とした研究成果も併せて報告する. </p><p>【倫理的配慮】</p><p>本発表に関わる全ての対象者には予め本発表の目的と内容を説明し, 同意を得た上で計測を行った.</p>

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