理科における子どもの評価判断と自己調整学習との関連の実態に関する研究

書誌事項

タイトル別名
  • A Study on the Effects of Children’s Evaluation Judgments on Self-Regulated Learning in Science
  • —A Case Study of the Grade 6 Lesson on the “Relationship between Plant Growth and Water”
  • ―小学校理科「植物の成長と水の関わり」の単元を事例に―

抄録

<p>近年,学習を俯瞰して次なる学習の方向性を自ら決めようとする「自己調整学習」がこれからの時代を担う子どもにより一層求められている。本研究では,理論と実践の往還の鍵となる研究手法として教室のアクション・リサーチに着目し,評価判断(Tai et al., 2018)の観点から理科における「自己調整学習」を実現する授業づくりを目指した。そこで,①評価判断を働かせる5つの視点(Fitzgerald et al., 2021)に着目し,子どもが評価判断を働かせるための手立てを考案すること,②自己調整学習に及ぼす評価判断の効果(Panadero et al., 2019)に着目し,理科における評価判断による自己調整学習への効果ついて明らかにすることをリサーチクエッションとして設定した。評価判断を働かせる視点を子どもと共有するために,「1 わかったこと・わからなかったこと,学び方」「2 友達,先生から学んだこと」「3 気づいたこと,自分で考えたこと」「4 授業前と比べて考えが変わったこと」「5 疑問,調べてみたいこと,次に向けて」という5つを含む図2を作成し,授業実践を行なった。小学校第6学年理科「植物の成長と水の関わり」の単元における事例的分析から,以下の諸点が明らかとなった。1)評価判断を働かせる視点として図2を作成して掲示することで,子どもはそれを視点としながら評価判断を働かせる。2)小学校理科授業において子どもが評価判断を働かせることで,予見段階では「自分の理解状況を整理する」,遂行段階では「実験結果を基に考える」,自己省察段階では「次の学習への見通しや疑問をもつ」などの自己調整学習への効果(表4)が生じる。3)評価判断が働くことによって,自己調整学習サイクルの予見,遂行,自己省察段階の下位過程,また段階間の関連付けが促進され,サイクル全体に効果を与えている。</p>

収録刊行物

  • 理科教育学研究

    理科教育学研究 64 (3), 189-202, 2024-03-31

    一般社団法人 日本理科教育学会

参考文献 (10)*注記

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