最新の発電機オンライン絶縁診断について

  • 髙根沢 真
    東芝エネルギーシステムズ株式会社 パワーシステム事業部/水力・発電機部

書誌事項

タイトル別名
  • Recent Generator Online Insulation Diagnosis

抄録

発電所や工場の設備として設置される発電機は,重要な電源設備である。長期間安定して運転するには,運転状態を把握し,定期的にメンテナンスを行うことが必要である。近年の再生可能エネルギーの導入に伴い,火力発電所は従来の運用とは異なる調整電源の役割を担うようになり,発電所全体の監視強化が求められている。そこで東芝は,CPSベースのIoTプラットフォーム“TOSHIBA SPINEX for Energy”に発電機器診断用のIoTアプリケーションを組み込んだ,新しい発電所監視診断システムを開発した。このシステムは機器の運転状態をリアルタイムに監視することで停止に至る故障の予兆を検知し,最適なメンテナンス計画を立案して設備稼働率を改善する。故障停止に至ってしまった場合には,故障原因と対策を提示することで,早期復旧を支援する。この監視診断システムは工場の発電設備にも適用できる。<br>発電機の固定子コイルは長期間運用すると絶縁が劣化し,地絡事故に至ることがある。事故により発電機は計画外停止となり,地絡した固定子コイルを修理するには長期間を要する。発電機の長期計画外停止を回避するためには絶縁診断を実施し絶縁劣化の状態を把握することが重要である。従来,固定子コイルの絶縁診断方法は,発電機を停止した状態で実施され,複数の試験結果で絶縁状態を総合的に診断するオフライン絶縁診断が行われてきた。今後は,運転中に絶縁状態の傾向を監視できるオンライン絶縁診断が主流になると考えられる。<br>東芝では,“TOSHIBA SPINEX for Energy”に診断用のIoTアプリケーションとして搭載が可能で,発電機の機外に非接触センサを設置するオンライン絶縁診断システムを開発した。本稿ではその特長を紹介する。

収録刊行物

  • 紙パ技協誌

    紙パ技協誌 78 (3), 194-201, 2024

    紙パルプ技術協会

参考文献 (2)*注記

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