交流場面における経験の語りと共感的な反応の特徴

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書誌事項

タイトル別名
  • Storytelling and Empathic Responses in Interaction Scenes
  • Conversations between Students Studying Japanese Abroad and Japanese University Students
  • 海外で日本語を学ぶ学生と日本の大学に通う日本人大学生の会話

抄録

<p>本研究は、日本語学習者と日本人学生の交流場面における会話を分析する。以下の2点に焦点を当てる。①どのような経験が語られるか。②語りに対してどのような共感的な反応がみられるのか。①について、交流場面(日本語学習者と日本語母語話者)においては、面接のような質疑応答(中井・夏2021)や母語話者からの質問→学習者による応答→母語話者が評価(鈴木2022)のようなかたちになり、話が弾まないことが指摘されている。②の語りに対する共感的な反応についても、苦労話などに対する反応が薄く、関係構築が難しくなるという問題点が、中井・夏(2021)によって報告されている。本研究は、交流場面において①と②の特徴を明らかにすることを目的とする。実際の交流場面の会話を会話分析の手法を用いて分析する。</p><p>会話データを分析した結果、以下の特徴が明らかになった。①については、互いに共通すること(コロナ禍での大学生)や自らの経験(愚痴や最近驚いたことなど)である。それに加え、「自らの経験+自国の文化紹介」の語りがみられた。自国の文化紹介を行う際に、単に情報提供として提示するのではなく、面白いこととして文化を導入している。面白いこととして語ることによって、聞き手が反応しやすい状況を作っている。また、自らの経験に関連させながら文化を紹介することで、知識量の差を相手に感じさせずに対等な立場から語ることができる。このような語り方から、「相手に教える⇔相手から学ぶ」という構造ではなく、互いに「学ぶ⇔学ぶ」という構造ができ、交流場面においてどちらも経験が語りやすくなることがわかった。②については、「相手の経験+文化」として聞くことで、相手を理解しようとすると同時に会話相手の文化への興味も深まることが示唆された。また、相手の経験に寄り添うような反応もみられた。このような積み重ねは、コミュニケーションの円滑さだけでなく、会話相手と会話相手の国ついても知ろうとする気持ちが伝わり、関係構築において重要な役割を果たしているといえる。</p>

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390299673818815360
  • DOI
    10.32252/tcg.21.0_16
  • ISSN
    24344680
    13488481
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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