棘刺創部に生じ,限局性リンパ管腫様の臨床像を呈したintralymphatic histiocytosisの1例

書誌事項

タイトル別名
  • A case of intralymphatic histiocytosis mimicking lymphangioma circumscriptum associated with a puncture wound caused by a thorn

抄録

83歳,女性.約2か月前に右5指にすだちの棘が刺さった.その後,同部に褐色の局面を生じてきた.初診時,右5指背側に表面が乳頭腫状を呈する淡褐色局面を認めた.生検組織では真皮に拡張した脈管が多数見られ,内部に単核球の集塊を伴う脈管も認めた.拡張した脈管はD2-40陽性で,集簇する単核球はCD68陽性であった.皮膚の組織培養では真菌などは検出されなかった.以上より本例をintralymphatic histiocytosis(IH)と診断した.特に治療は行わずに経過を見たが,初診後7か月の時点で局面に大きな変化はないものの,右5指全体にリンパ浮腫が生じていた.IHは慢性関節リウマチとの関連がよく知られているが,そのほかにも人工関節置換術や感染症,悪性腫瘍,外傷などに伴って生じた例が報告されている.自験例ではすだちの棘刺入が誘因となったと考えられるが,調べ得た限りではこれまでに同様の症例報告は見つからなかった.

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参考文献 (19)*注記

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