(entry) Consideration of geometric features of three-dimensional pore structure of feldspar during hydrothermal alteration.

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  • (エントリー)長石の熱水変質に伴う3次元空隙構造の幾何学的特徴の考察
  • <b>★「日本地質学会学生優秀発表賞」受賞★</b>

Abstract

<p>地殻中の流体の主要な通り道は、岩石の割れ目や粒界であると考えられてきた。一方、近年、変質した長石などの内部に多数の微細空隙が存在することが発見され、流体との反応によって形成されるそのスケールからマイクロスケール空隙が注目されている[1]。特に、地殻の主要鉱物であるカリ長石(Kfs)や斜長石(Pl)と塩水(NaClやKClの水溶液)との反応による置換プロセスに関する水熱反応実験が数多く行われてきた。しかし、多くの研究において、空隙の観察は実験後にのみ実施され、また走査型電子顕微鏡(SEM)などを用いた2次元観察がほとんどである。そのため、空隙の3次元的な形状や連通性、その時間的な変遷についてはまだ十分に理解されていない。また、複雑な幾何学的形状をもつ空隙を定量的に評価する指標が存在していない。本研究では、(1)KfsとNaCl水溶液の反応(曹長石(Ab)による置換;ΔV=+8.85%)、(2) AbとKCl水溶液の反応(Kfsによる置換;ΔV=-8.14%)という対照的な反応の熱水反応実験を行い、水熱実験とX線CT撮像を同一試料に対して繰り返し行うことで、その空隙形成について詳細に検討した。AbまたはKfsの角柱試料(1mm×1mm×2mm)をそれぞれ2 M のKCl またはNaCl水溶液とともに金管に封入し、600℃、150MPaの条件で48時間ごとの反応実験行った。実験後、高分解能3次元X線顕微鏡(ボクセルサイズ:1.656μm; Versa, Zeiss co.)でX線-CT撮像を行い、 1回目の3次元形状データ取得後、2回目の実験(48時間)とX線CT測定を行った。 出発物質がAbの場合もKfsの場合も、どちらも表面や割れ目から置換反応が進行していた。反応帯の幅は、AbからKfsへの置換反応においては48時間後の50μmから96時間後には75μmに、KfsからAbの置換反応では、20μmから50μmに増加した。どちらの反応においても、マイクロスケールの空隙(大きさ5-30μm)は、反応フロントにおいて形成されており、これは空隙が反応フロントの進行とともに移動することを意味しているが、空隙の形状は対照的であった。AbからKfsへの置換反応では、平板状の空隙が中心の亀裂面とほぼ平行に配列しており、すべての空隙が孤立して存在している。一方、KfsからAbへの置換反応では、空隙は3次元的な枝分かれのある樹状構造を示し、その一部は中心の亀裂面と部分的につながっていた。ボックスカウンティング法により空隙のフラクタル次元の解析を行うとどちらも1.85から2.2の値を示し、KfsからAbへの置換反応による空隙の方が比表面積が大きい傾向を持つ。また、多数分布する空隙すべてのフラクタル次元の解析を行うと、明瞭なスケール依存性をもち、ボックスサイズが小さいときは1次元的な構造をとり、ボックスサイズが中間の時は2次元的(平面的)な構造をとることがわかった。講演では、パーシステントホモロジーによる幾何学的な評価も合わせて、長石の置換反応に伴う空隙の定量的評価とそのメカニズムについての考察を行う予定である。 1. Plümper et al., 2017, Nature Geoscience, vol. 10, pp.685-691</p>

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