“吗(ma)”疑問文の応答形式について : 中国語教学における語用論的知識

DOI HANDLE Web Site オープンアクセス

書誌事項

タイトル別名
  • 论“吗”问句的应答方式 : 兼谈汉语教学中的语用知识
  • ma ギモンブン ノ オウトウ ケイシキ ニ ツイテ チュウゴクゴ キョウガク ニ オケル ゴヨウロンテキ チシキ

この論文をさがす

抄録

論文

中国語の対話において、話し手が聞き手“吗 (ma)疑問文を投げかけ、聞き手に応答を求めた場合、聞き手は通常、肯定形式もしくは否定形式で応答する。 このような“吗(ma)” 疑問文及びその応答形式は、初級の段階で学習する文法項目ではあるが、中国語学習者は誤用を産出することがある。本研究は中国語母語話者と 中国語学習者の視点から、“吗(ma)疑問文の応答形式について、主に以下2つの問題考察を行う。(一) 中国語母語話者は、どのような形式を用いて“吗(ma)疑問文に応答するのか。(二) 中国語学習者は、“吗 (ma)” 疑問文の応答に関して、どのような語用論的知識が必要なのだろうか。本研究は朱晓亚(2001)、谢心阳 (2018) などの先行研究をふまえた上で、まずは中国語母語話者の用いる“吗 (ma)疑問文の応答形式を観察し、中国語教学文法の観点から、“吗(ma) 疑問文の応答形式を分類、提示した。中国の番組「杨 澜访谈录』12話を研究対象とし、その中の“吗 (ma)疑問文及びその応答形式を抽出し、言語データとして使用した。分析の結果、応答形式をまず「直接応答」と「間接応答」 の2つに分類した。「直接応答」とは、“吗(ma)”疑問文、肯定否定の言語形式で応答することを指し、「間接応答」とは、”吗(ma)”疑問文、様々なストラテジーを用いて応答することを指す。「直接応答」は、さらに「重複」(形式、意味)を用いる場合と「応答詞」(肯定、否定)を用いる場合に小分類した。各分類具体例を示しつつ、その応答形式の様相を明らかにすることを試みた。中国語母語話者の“吗(ma)”疑問文に対する応答形式を参考にし、本研究では中国語学習者の場合は、どの段階で、どのような知識が必要となるのかも言及した 。“吗(ma)”疑問文の応答形式について、初級の学習目標は「直接応答を理解、 習得し、実際のコミュニケーションにおいて、肯定もしくは否定の態度を表せる」こと、中上級の学習目標は「様々なコミュニケーションストラテジーを使用できる」 ことであると考え、初級の段階では「直接応答」を、中上級の段階では「間接応答」を学習し、段階的に“吗(ma)疑問文の応答形式を習得する必要があると結論づけた。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ