中国における情報メディアの展開と社会統制様式の変容

書誌事項

タイトル別名
  • The Development of Information Media and The Transformation of Social Control Style in China

抄録

本稿は思想・精神をコントロールする装置としての「宣伝」と行動をコントロールする装置としての「管理」を手がかりに中国における情報メディアの進展と社会統制の変容の関係について考察したものである。「宣伝」に関しては、改革開放の波の中で現れた「都市報」に象徴される非「宣伝」的傾向をもつ伝統的メディアや、情報化とともに現れ社会を覆うようになったソーシャルメディアなどによって「宣伝」は一定の影響を受けるが、しかし新しいメディアの積極的活用という形で「宣伝」の方向性が保持され、そしてその延長線上で新しい情報メディア技術を土台にしたメディア融合策のもと、メディア全体が「宣伝」のもとに統合されていく傾向にあるという点を確認した。一方「管理」に関しては、情報メディアの進展とともに、「管理」対象集団の単位が「社区」から「網格」へというように縮小化し、「管理」対象の個人に至っては社会信用システムの導入等にもより、その社会関係・経済的地位・心理的性向等を含む物理的・社会的存在のあり方が動態的に「管理」されていくような傾向にあり、「管理」主体ないし権力も「超越化」という形で個人に集中する傾向を見せているという点を確認した。そしてこのような変化は従来のピラミッド型の官僚制支配体制の弱体化を意味するもので、今後の社会統制の変化に関する考察では官僚制の変動は重要な着眼点となるという見解を示した。

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