与那国島沿岸の海底における砂岩の侵食地形

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タイトル別名
  • Submarine Erosional landforms of sandstone around Yonaguni Island
  • based on multibeam echo-sounder, ROV photogrammetry and SCUBA diving surveys
  • マルチビーム測深とROVフォトグラメトリー、潜水調査による浅海底地形研究

抄録

<p>1. はじめに</p><p> 陸上の地形学では、砂岩が作る独特の地形が注目してれ記載され1)、近年これらの地形用語が整理されてきた2)。一方、岩石海岸沖の海底地形については、いまだに研究例が乏しく、地形形成プロセスについても解明が進んでいないばかりか、どのような地形が存在するかも分かっていない。本研究では従来にない高解像度での海底地形を可視化し観察することによって、砂岩で構成される岩石海岸沖の海底でみられる地形を明らかにするとともに、それらの形成について論じる。</p><p></p><p>2.研究方法</p><p> 琉球列島・与那国島において、2017年12月に南岸域、2018年7月に北岸域を対象として、ワイドバンドマルチビーム測深機 R2 Sonic 2022 を用いた測深調査を行い、海底地形測量を行った。また、2013年および2016~2022年にかけてSCUBAを用いた潜水調査を行い、海底地形や堆積物などの観察を行った。2021年4月には、合同会社アパラティスと株式会社ワールドスキャンプロジェクトによって開発された水中3Dスキャンロボット「天叢雲剣 MURAKUMO」(特許取得済)を擁して、南東岸の新川鼻沖にてROVを利用した水中フォトグラメトリーによる1cmグリッドの高解像度海底地形モデルを作成した。本研究ではこれらの成果をあわせて海底地形に関する議論を行う。</p><p></p><p>3.海底の侵食地形</p><p> 与那国島西端の西崎および東海岸(東崎~新川鼻)沖の海底には、頂部が平坦な台地状の地形(遺跡状地形)が多数存在する。これらの地形は、一時、人工的な造形と言われたこともあったが、考古学的な遺物や人類の痕跡は検出されていない。これらの地形が分布する地域は中新統八重山層群の砂岩泥岩互層で構成されており、多数の節理が台地状地形の側面を区切っている。潜水による観察によって、岩盤の剥離、削磨作用、礫の生成などの侵食過程や、様々な形状や大きさをもつポットホールなどの侵食地形が形成されつつある様子を観察することができた。海底における砂岩の風化・削剥が継続的に進行する中で、遺跡状の地形がつくられていることを示唆している。</p><p></p><p>謝辞:本研究は科研費JP16H06309, JP21H04379(代表者:菅 浩伸)、与那国町―九州大学浅海底フロンティア研究センター間の受託研究(H29~31年度)、九州大学と株式会社ワールドスキャンプロジェクトとの共同研究および九州大学・比文・寄附講座ワールドスキャン地理情報解析講座の成果の一部です。</p><p></p><p>引用文献: 1) Wray 1997 Earth-Science Reviews, 42, 137-160. 2) Wray and Sauro 2017 Earth-Science Reviews, 171, 520-557; Migoń et al. 2017 Earth-Science Reviews, 171, 78-104; Migoń 2021 Geomorphology, 373, 107484など。</p>

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390299859706170496
  • DOI
    10.14866/ajg.2024s.0_121
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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