佐渡島平根崎の中新世石灰岩質砂岩にみられる海岸カルスト地形
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- 長谷川 均
- 国士舘大学
書誌事項
- タイトル別名
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- Coastal Karst Morphology in Miocene Calcareous Sandstone at Hiranezaki, Sado Island
説明
<p> 佐渡島平根崎には、ポットホール(波蝕甌穴)が密集して分布する.ポットホール群の存在は,1930年代以降,徳重や伊藤らによって報告され知られていたが,分布や形状などを詳細に記録したものは石塚ほか(2017)が唯一のものと思われる.この研究では,平根崎に分布する穴状の地形をすべて波蝕甌穴とみなしている.しかし,これは誤認である.石塚らのいう標高の高いエリアに分布する穴は,石灰岩質砂岩が溶食により形成された凹地であり,カメニツァというカルスト地形である.</p><p>これ以外にも平根崎一帯にはカルスト地形が分布する.汀線付近には,しぶき溶食による海岸ラピエ(カレン)が,汀線から離れた標高の高い部分には溶食条溝やそれらが合流した溶食水溝などが形成されている.</p><p> 平根崎のカルスト地形は,海に向かって急傾斜する地形面上に形成されている.地形面は,この地域に分布する中期中新世前期の羽二生川層(従来の下戸層の上部)の石灰岩質砂岩の層理面である.</p><p>平根崎の海岸カルストが分布する斜面は,営力,分布するカルスト地形の種類によって4つのZONEに分けられる.なお,石灰質砂岩は付加体ではなく、現地成の冷水性炭酸塩堆積物である.浦田健作(私信)によれば,これまで日本海側で海岸カルストが分布するという報告はなく,また冷水性石灰質砂岩によるカルスト地形も報告されていない。そのような意味でも種々のカルスト地形が見られる平根崎の海岸カルストは貴重な存在である.</p>
収録刊行物
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- 日本地理学会発表要旨集
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日本地理学会発表要旨集 2024s (0), 67-, 2024
公益社団法人 日本地理学会