「日本の地域別将来推計人口(令和5 年推計)」の概要

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  • Summary of the “Regional Population Projections for Japan: 2020-2050”

抄録

<p>国立社会保障・人口問題研究所では、毎回の国勢調査による人口を基準として、全国と地域別の将来人口推計を行っている。令和2(2020)年国勢調査人口を基準とした「日本の地域別将来推計人口(令和5年推計)」(以下、「令和5年地域推計」)は、2023年12月22日に公表した。本報告では、「令和5年地域推計」の手法と結果の概要について説明する。</p><p> 「令和5年地域推計」は、将来の人口を都道府県別・市区町村別に求めることを目的としたもので、令和2(2020)年から令和32(2050)年までの5年ごと30年間について、男女・5歳階級別に推計を行った。推計の対象は、令和5(2023)年12月1日現在の1,883 市区町村(福島県「浜通り地域」の13市町村を除く769市、736町、180村、および東京23区(特別区)、20 政令指定都市の175区)と福島県「浜通り地域」の計1,884 地域であり、推計値の合計は、「日本の将来推計人口(令和5年推計)」(出生中位・死亡中位仮定)の値と合致する。</p><p> 推計手法は、5歳以上の推計においてはコーホート要因法を用いた。コーホート要因法は、ある年の男女・年齢別人口を基準として、ここに人口動態率などの仮定値を当てはめて将来人口を計算する方法である。「令和5年地域推計」では、死亡に関する仮定値として男女年齢別生残率、転出に関する仮定値として男女年齢別転出率、転入に関する仮定値として男女年齢別配分率、出生に関する仮定値として子ども女性比と0~4歳性比を用いた。これらのうち、地域別の推計において最も将来人口を左右する移動率(転出率、配分率)については、一部の例外を除き、2005~2010年、2010~2015年、2015~2020年の3 期間の平均的な傾向を長期的な仮定として採用した。</p><p> 「令和5年地域推計」による推計結果を都道府県別にみると、2020~2050年の30年間で総人口が増加するのは東京都(+2.5%)のみであり、残りの46道府県では秋田(-41.6%)をはじめとして減少する(図1)。東京圏に属する県および沖縄県では減少率が低くとどまる一方で、宮城県以外の東北地方に属する県を含む11県では主に自然減により30年間の人口減少率が30%以上に達する。また、全都道府県で65歳以上人口割合(高齢化率)は上昇し、最も割合の高い秋田県では2050年に49.9%になると見込まれている。</p><p> 市区町村別にみると、政令指定都市を1 市としたカウントした1,728市区町村のうち、1,651市区町村(全体の95.5%)において2020~2050年の30 年間で総人口が減少する。また、同期間において65 歳以上人口割合は1,696市区町村(同98.1%)で上昇し、557市区町村(同32.2%)では2050年の65 歳以上人口割合が50%以上となる一方で、1,182市区町村(同68.4%)では2050年の65 歳以上人口が2020年と比較して減少し、多くの地域において高齢者人口ですらも減少する局面にさしかかることになる。なお、一部の市区町村においては年少人口割合の上昇など不規則な動きもみられ、人口構造の観点からは新たなステージに移行することが示唆された。</p>

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390299859706349312
  • DOI
    10.14866/ajg.2024s.0_92
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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