多雪山地における積雪層を経路とした融雪流出機構

書誌事項

タイトル別名
  • Mechanism of Snowmelt Runoff Through Snowpack Pathways in Snowy Mountains

抄録

<p>多雪山地における融雪期の流出機構には,積雪内部での融雪水の挙動が大きく関わるものと想定して調査を行った。対象とした飛騨変成岩類を基盤岩とする流域では,基底流出時の渓流水の電気伝導度が高く,増水に伴ってその値が低下した。多雪山地の流域において厳冬期の日平均気温は概ね0℃以下で,流域への水の供給は積雪底面での融雪水のみであった。その後,日平均気温が 0℃を上回るようになると,表面融雪が発生し融雪水が渓流へと流出するようになった。融雪初期にはわずかな増水に対して渓流水の電気伝導度が大きく低下したが,融雪が進み流出量が増加する過程で,同様の電気伝導度の低下はより大きな増水にともなって発生するように変化した。このような融雪期の流出量とECの関係の変化は,表面融雪水の一部が地表まで鉛直浸透せずに,積雪層内を流出経路とする側方流として渓流まで達していることによると推定された。したがって多雪山地の融雪期の流出機構には,積雪が大きく関わるものと考えられた。</p>

収録刊行物

  • 日本森林学会誌

    日本森林学会誌 106 (3), 41-48, 2024-03-01

    一般社団法人 日本森林学会

参考文献 (11)*注記

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