EU の炭素国境調整メカニズム(CBAM)のWTO 協定上の評価
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- Sekine Takemasa
- 横浜国立大学
Bibliographic Information
- Other Title
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- ―温暖化対策における競争平準化の意味と紛争回避―
Abstract
<p> 2023年5月17日に発効したEUの炭素国境調整メカニズム(CBAM)規則は,EU域内の排出量取引における無償配分を廃止することで懸念されるカーボン・リーケージの抑制のために,域外からの輸入品に対して排出量に応じたCBAM証書の購入を要求する制度を構築する。かかる制度は,貿易を制限する効果があるため,世界貿易機関(WTO)協定と整合的であることが求められる一方で,WTOが協定違反であるとして当該制度を強く否定してしまうと,WTOは積極的な温暖化対策を阻害する機関という誤ったメッセージとして受け止められてしまう危険性もある。そこで,本稿では,CBAM制度がWTO協定においてどのように評価されるのかを分析し,どのように対処することが望ましいか模索する。本稿の分析結果では,現行制度下では,CBAM規則はWTO協定違反と認定される可能性があると結論付けられることから,WTOの紛争処理手続に付託する以外の方法で解決することを考える必要があり,具体的にはWTOの貿易と環境委員会(CTE)の活用などを検討する状況にあると言える。</p>
Journal
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- Financial Review
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Financial Review 155 (0), 105-128, 2024
Policy Research Institute, Ministry of Finance, Japan
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Keywords
Details 詳細情報について
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- CRID
- 1390299903955307520
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- ISSN
- 27584860
- 09125892
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- Text Lang
- ja
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- Data Source
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- JaLC
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- Abstract License Flag
- Allowed