尿中β<sub>2</sub>マイクログロブリン測定に与える尿pHと保存温度

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タイトル別名
  • Urine pH and storage temperature for measurement of urine β<sub>2</sub>MG

抄録

<p>β2MGは尿pHが5.5以下の場合には酸性プロテアーゼにより偽低値となることが知られている。このため,外部受託検査検体の提出条件にも「pH 5.5~7.5で提出」と記載されているが,pH調整の推奨方法は特に示されていない。そこで,尿中β2MGと検体pHの関係を明確にし,適正な検査提出方法について改めて評価することを目的とした。対象は,尿検査の依頼のあった外来患者検体26件とした。pH調整の有無,保存方法の違い(室温,冷蔵,凍結)の条件設定を行い,測定までの経過時間の差異による尿中β2MG値の低下率を比較した。尿pH 6.0~7.5の検体においては,24 h後の尿中β2MG低下率は小さかった。尿pH 4.7~5.5の検体では,室温保存,冷蔵保存,凍結保存の順に24 h後の尿中β2MGの低下率が大きかった。これらのことから,pH 6.0以上の尿中β2MGは酸性プロテアーゼの影響を受けにくく,pH 5.5以下の尿中β2MGは影響を受けやすいと改めて示された。また,酸性尿検体において室温保存が最も尿中β2MGの分解が速く,凍結保存,冷蔵保存の順に酸性プロテアーゼの影響を受けにくくなると考えられた。したがって,尿検体採取後,迅速に測定をする,または直ちに尿pHを確認し,適正な検体処理・検査提出を行うべきであり,これにより本来の尿中β2MG値を臨床に報告することができると示唆された。</p>

収録刊行物

  • 医学検査

    医学検査 73 (2), 332-336, 2024-04-25

    一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390299926126178688
  • DOI
    10.14932/jamt.23-81
  • ISSN
    21885346
    09158669
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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