アントニオーニにとって“シンチェリタ”とは何か(2) -自身と自身の作品とについて

書誌事項

タイトル別名
  • What Is “Sincerità” for Antonioni ? (2) : regarding Himself and His Works
  • アントニオーニ ニ トッテ"シンチェリタ"トハ ナニ カ(2)ジシン ト ジシン ノ サクヒン ト ニ ツイテ

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抄録

ミケランジェロ・アントニオーニは,映画監督として,時代との結びつきを失うことなく,自身の内面に時代の反響を捉えることを信条としていた。本稿では,アントニオーニの文章や発言を整理しながら,(1)時代をどのように認識していたか,(2)時代の反響を捉える内面はどのように組成されていたか,を探求した。アントニオーニは1950年代以降について,政治的・倫理的・社会的・身体的な不安定さを捉え,1970年代以降については閉塞・内向・暴力・残酷さを捉えていたことが明らかになった。(アントニオーニが多くを語らなかった)内面の組成については,出自・教育・経験,および映画・文学との関わり,に注目した。本稿ではさらに,映画作品のなかに「自身の倫理観」を注ぎ込むといったアントニオーニが,非宗教的でありながら極めて倫理的だったことを指摘した。

収録刊行物

  • 人文学研究所報

    人文学研究所報 (71), 107-128, 2024-03-27

    神奈川大学人文学研究所

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