ソビエト・ロシアにおける階層型都市構造の変遷

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  • Hierarchical Urban Systems in Soviet Russia Revisited

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抄録

<p>著名なHill and Gaddy (2004) は,現代ロシアにおける空間経済の歪みの象徴として,ロシアの都市集積が十分な成長を遂げていないということを挙げる.これは端的には,ロシアの都市構造が順位・規模法則に沿っていないということで示され,HillとGaddyはこれをソ連の行政的・指令的計画経済の遺産であるとした.しかしながら本研究は,旧ソ連共和国の全ての都市に関するデータセットを全人口センサスから構築し,それぞれのセンサス年における順位・規模法則の妥当性を検証した結果,より包括的な結論が得られた.第一に,現代ロシアの都市階層構造とは異なり,ソ連の都市階層構造は順位・規模法則に適合していた.第二に,ソ連の都市構造は大きな変遷を見せた.帝政末期およびソ連時代初期においては,当該都市構造は順位・規模法則に従っていた.しかしながら1939年から1959年の間にソ連の順位・規模法則はそこからの乖離を示す.そののち,1989年に至るソ連末期には逆に,ソ連の階層型都市構造は伝統的な順位・規模法則に収斂する傾向を示したのである.これらがデータによって裏付けられ,ソ連の階層型都市構造の変遷は,必ずしも行政的・指令的計画経済システムによる開発政策の産物であるとは言えないものと考えられ得る.</p>

収録刊行物

  • 経済研究

    経済研究 74 (1.2), 1-22, 2023-10-25

    国立大学法人 一橋大学経済研究所

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