シンポジウムのまとめ

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抄録

<p> 新生児仮死を取り扱う小児科医にとって,胎児の低酸素症を代謝と機能の面から追求された報告は新生児仮死の起源の病態を知るうえで,極めて重要で,新生児を取り扱うものにとっても大変有意義であった。ヒト胎児仮死の複雑なメカニズムを単純化して負荷する動物実験では,どの程度ヒトの仮死と類似するか,どこから不可逆的となるか,などの問題を残したが,今後の研究を進めるために大変意義深い。</p><p> 胎児仮死のあとに引き続いて生じる新生児低酸素性虚血性脳症は生後経時的に変化するために,その異常は生後時間によって異なる。脳血流や代謝の経時的変化をとらえるために,近赤外線やMRIの臨床応用はいまだ研究の段階ではあるが,今後大いに期待できる検査方法である。</p><p> また,胎児および新生児仮死後に全身的な循環,血液あるいは代謝の障害が生じ,二次的に頭蓋内障害あるいは頭蓋内環境改善障害が生じ,そして病理で示されたような脳病変パターンが残る。それぞれの発生機転に関与するいくつかの要因が明らかにされたが,今後も臨床的要因,頭蓋内血流・代謝変化や脳障害パターンなどがおのおの対比され,研究されていく必要がある。この成因での討論が,後の予防と治療のシンポジウムで生かされることを期待する。</p>

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390300058783984896
  • DOI
    10.34456/jspnmsympo.6.0_74
  • ISSN
    2759033X
    13420526
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用可

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