書評 八鍬友広著『読み書きの日本史』

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タイトル別名
  • Book review, Tomohiro Yakuwa, Japanese history of reading and writing (Yomikaki no Nihon shi)
  • ショヒョウ ヤクワ トモヒロ チョ ヨミカキ ノ ニホンシ
  • 書評八鍬友広著読み書きの日本史

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抄録

著者の見解では,①日本の伝統社会における識字が書き言葉としての変体漢文を採用するところから,教育における訓練と習熟の必要を生じたが,近世の寺子屋において,その到達度には差異がみられた。②近世日本におけるリテラシーの構造について,代表的な文字文化の世界が上位に,実務的な文書操作の世界が下位にあり,寺子屋は後者の準備過程に位置づけることができる。③ほとんどの人が読み書きできるようになるのは,近代学校教育の成果だが,それは近世の識字とは質を異にするものであった。これをうけて評者は,個別の寺子屋では教育水準の格差が明らかだが,寺子屋教育の共通化傾向の中には,近世的な普通教育への志向がみられたことを指摘する。

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