『あしながおじさん』に見る書く力

書誌事項

タイトル別名
  • アシナガ オジサン ニ ミル カク チカラ
  • The Power of Writing in Daddy-Long-Legs

この論文をさがす

説明

作家を目指す孤児の少女を主人公にしたジーン・ウェブスターの『あしながおじさん』は,ほぼ全編が書簡体で成り立っていることに大きな特徴がある。舞台化や映像化によって書簡体の要素が取り除かれると,自身を客観的に見つめて評価するジュディの自己省察が失われ,受動的なヒロイン像が浮かび上がってしまう。だが,〈あしながおじさん〉はもちろん,ジャーヴィスさえジュディの書く文章の中にのみ存在する語りの構造は,書き手であるジュディに創造主としての力を与え,その主体性が強調されることになる。表面的にはシンデレラのように見えるジュディは,書くことによって自分自身を成長させ,他者にも大きな影響を及ぼす力を身につけた,自立的で戦略的なヒロインなのである。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ