B型肝炎再活性化対策における検査科の取り組み
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説明
【はじめに】HBV再活性化のリスクを有する免疫抑制・化学療法が予定されたすべての患者において、治療前にHBV感染スクリーニングを行うことが求められているが、当院ではその検査実施率が55%程度で、実施率の向上・維持が課題であった。そこで対象患者に対して検査科でHBs抗原検査のオーダーを入れることで、B型肝炎再活性化の見逃し防止対策に取り組んだので報告する。【対象・方法】B 型肝炎ウイルス再活性化リスクのある免疫抑制剤または抗がん剤投与中で、1年以上HBs抗原検査を未実施または3ヵ月以上HBV-DNA定量検査を未実施の患者、かつ採血検査の予約が入っている患者を抽出するシステムを構築。対象者に対して検査科でHBs抗原検査のオーダーを追加入力し、主治医には電子カルテに記事入力でオーダー入力したことを報告し承認を得た。【結果】2023年2月13日より運用を開始、7月末までの5ヵ月半の間で合計293人の患者に対して追加オーダーを入れ、検査実施率は82%まで上がった。この293人の中には3名のHBs抗原陽性者がおり、2名は核酸アナログ製剤投与中、残り1名は以前B型肝炎の指摘を受け他院へ通院していた時期もあったが、現在は未治療で主治医に対応を依頼することができた。【結語】医師に代わって検査科でHBs抗原検査のオーダーを入れることで、患者のB型肝炎再活性化のリスク軽減にコメディカルスタッフとして協力でき、その体制づくりに寄与できた。短期間の免疫抑制剤投与など当日急に採血となる患者や、再活性化のリスクが低い低用量の使用により定期的な採血をしていない患者など、オーダーが追加できない場合があるため、実施率を100%にすることは難しいと考える。B型肝炎再活性化のリスクを減らすため、今後さらなる対策、改善ができないか検討したい。
収録刊行物
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- 道南医学会ジャーナル
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道南医学会ジャーナル 7 (1), 23-25, 2024
道南医学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390300379558868096
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- ISSN
- 2433667X
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用可