当院の直腸神経内分泌腫瘍における内視鏡治療の現状

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腫瘍径10mm以下の大腸神経内分泌腫瘍(NET)は内視鏡的切除が推奨されている。従来のEMRでは深部断端陽性となることが多く、ESMR-L(Endoscopic submucosal resection with ligation device)等のmodified EMRやESDといった処置の工夫が必要となる。当院では内視鏡的治療の適応となる直腸NETに対し2022年3月までは大腸ESD、2022年4月以降はESMR-Lで切除している。当院における直腸NETの内視鏡的治療の状況を検討したので報告する。 2019年4月から2023年3月までの期間、大腸ESD:4症例、ESMR-L:3症例の治療が行われた。ESDは、局注液ムコアップ、先端系ナイフDual knifeを使用して切除した。ESMR-Lは、粘膜下層に生理食塩水を局注後に、内視鏡的静脈瘤結紮術用のligation deviceを用いて内視鏡で病変を吸引し、O-ringで絞扼、その下をスネアで切除した。 年齢はESD:51歳(36-85)、ESMR-L:59歳(51-71)、腫瘍径はESD:5mm(3-7)、ESMR-L:5.7mm(5-7)であり、両群に差はなかった。病理はいずれもNET(G1)、深達度SM、脈管侵襲陰性、水平・深部断端陰性であった。平均切除時間は、ESD:51.5分(36-85)、ESMR-L: 7.7分(5-12)であり有意にESMR-Lの時間は短かった(P=0.02)。治療後の入院期間は、ESD:4日、ESMR-L:2.67日(2-3)で有意にEMSR-Lの入院期間は短かった(P=0.03)。偶発症は、ESDではなく、ESMR-Lでは1名治療翌日に後出血見られたが、止血処置は必要としなかった。 当院の直腸NETの内視鏡治療においてはESMR-Lでも確実に切除が可能であった。ESMR-LはESDよりも切除時間および入院期間の縮小が可能となり、有用な治療法であると考えられた。

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