反応速度教材としての過酸化水素の液相均一接触分解に関する研究―鉄(III)イオンを用いた際の分解速度のpH依存性

書誌事項

タイトル別名
  • Decomposition of Hydrogen Peroxide in Homogeneous Aqueous Solution from the Stand Point of the Teaching Materials of Reaction Kinetics for School Science Experiments

説明

<p>過酸化水素の分解反応に関する反応速度論データは反応系のpHによってはバラツキがともなう。その原因を明らかにするため, Fe3+イオン促進分解反応のpH依存性を検討した。反応は大気圧下,10~30℃の温度域で行ない,触媒には硫酸鉄(Ⅲ),塩化鉄 (Ⅲ)および硫酸鉄 (Ⅲ)アンモニウムのそれぞれの水溶液を用いた。過酸化水素水溶液のpHの調節は塩酸または水酸化ナトリウム水溶液を滴下して行なった。過酸化水素の分解速度はpH1~2.9までは速度式(1)に従うが,pH>2.9では分解速度はpHの増大とともに著しく減少した。pH >2.9ではFe3+の加水分解を考慮した速度式(2)にも従わなかった。ここで, f=全鉄イオン濃度, KH= Fe3+の加水分解定数。過酸化水素の分解反応の活性化エネルギーおよび頻度因子はpH<2.5では30Kcal/moleおよび1020であるが, pH> 2.5ではそれぞれ20Kcal/moleおよび1010となった。このことから,過酸化水素の分解反応はpH =2.5付近を境にして,反応機構を異にして進行するものと考えられ, Fe3+の加水分解の因子のみではpH依存性を説明できないことがわかった。学校理科においては,pH≃3領域での実験を避けて,再現性と精度の高いデータを取得すべきものと考えられる。</p>

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参考文献 (5)*注記

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