ムギ類育種での画像センシングの活用に向けた穂の検出の試み

書誌事項

タイトル別名
  • Application of an image-based head detection method for yield trial plots in wheat and barley breeding programs
  • ムギルイ イクシュ デノ ガゾウ センシング ノ カツヨウ ニ ムケタ ホ ノ ケンシュツ ノ ココロミ

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説明

<p>ムギ類の育種で行われる形質評価・選抜は多くの時間と労力を要するため,これらの高速化・自動化は非常に大きな役割をもつ.深層学習などの登場により飛躍的に発展した画像センシング技術は,画像から様々な情報を高速かつ高精度に取得することを可能にし,育種の効率化に貢献する.そこで,本研究ではこうした画像センシング技術を利用した育種の効率化を目的とし,その一例として物体検出技術を活用したムギ類の穂の検出と穂数調査方法の開発を試みた.穂の検出には,コムギ・オオムギを合わせて2,023枚の訓練画像と674枚の検証画像を供試し,YOLOv4を利用したモデルを作成した.作成した検出モデルは未学習のデータに対するmAP(mean Average Precision)が85.13%と良好な精度を示し,異なる麦種,熟期の画像に対し頑健と考えられた.作成したモデルとトラッキング技術を活用し,動画から穂数の推定を試みた.動画を用いた穂数の集計方法では,フレームあたり平均穂数と動画中のユニーク(固有)な穂の総数の2種類について,検出閾値を変えつつ検証した.その結果,閾値を0.35に設定した際のユニークな穂の総数による穂数推定が実測値と高い相関を示し,決定係数はオオムギで0.726,コムギで0.510だった.コムギ,オオムギの生産力検定試験区を対象に,穂揃い期以降の異なる3時点でこの手法により穂数の推定を行った.推定された穂数と生産力検定試験で得られた調査結果を比較したところ,相関係数は2年間の平均でオオムギでは0.499,コムギで0.337と全体の傾向としては一致していた.本研究で開発した手法は従来の目視による測定に比べて簡便であることに加えて反復間の再現性が優れていることから,ムギ類の穂数調査における省力化,高速化および高精度化に貢献できると考えられた.</p>

収録刊行物

  • 育種学研究

    育種学研究 26 (1), 5-16, 2024-06-01

    日本育種学会

参考文献 (26)*注記

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