大腸管状腺癌および管状腺腫におけるCD71/transferrin receptor 1発現と病理組織診断への応用に関する臨床病理学的検討

  • 望月 裕一朗
    昭和大学医学部臨床病理診断学講座 昭和大学江東豊洲病院消化器センター
  • 塩沢 英輔
    昭和大学医学部臨床病理診断学講座
  • 北條 真鈴
    昭和大学医学部臨床病理診断学講座 昭和大学江東豊洲病院消化器センター
  • 佐々木 陽介
    昭和大学医学部臨床病理診断学講座
  • 片桐 敦
    昭和大学医学部内科学講座消化器内科学部門
  • 吉田 仁
    昭和大学医学部内科学講座消化器内科学部門
  • 浦上 尚之
    昭和大学江東豊洲病院消化器センター
  • 横山 登
    昭和大学江東豊洲病院消化器センター
  • 井上 晴洋
    昭和大学江東豊洲病院消化器センター
  • 矢持 淑子
    昭和大学医学部臨床病理診断学講座

書誌事項

タイトル別名
  • Clinicopathological study of CD71/transferrin receptor 1 expression in colorectal tubular adenocarcinoma, tubular adenoma, and carcinoma in adenoma
  • ―腺腫内癌におけるCD71発現の比較検討を用いて―

説明

Ⅱ型膜貫通糖タンパク質であるCD71/transferrin receptor 1は,鉄の取り込みと細胞増殖調節に関与するタンパク質で,種々の癌での発現が報告される.大腸管状腺腫および管状腺癌のCD71発現を免疫組織化学で評価し,病理組織診断におけるCD71免疫組織化学の有用性を検討した.内視鏡的切除術を受けた大腸管状腺腫28例,管状腺癌34例を対象とした.管状腺癌は16症例(47%)が腺腫内癌で,腺腫部分と腺癌部分を各々評価した.CD71発現はGrade 0:陽性細胞なし,Grade 1:腫瘍細胞の細胞膜のみ陽性,Grade 2:腫瘍細胞の細胞質の一部に弱陽性,Grade 3:細胞質のびまん性陽性が腫瘍組織の一部に認められるもの,Grade 4:細胞質のびまん性強陽性が腫瘍組織の全体に認められるものとした.χ二乗検定,Fisher直接確率計算で2群間の独立性を検定した.CD71発現は腺腫でGrade 0:12例,Grade 1:13例,Grade 2:2例,Grade 3:1例で,Grade 0-1が25例で大半を占め,Grade 4はなかった.腺癌はGrade 1:6例,Grade 2:6例,Grade 3:9例,Grade 4:13例で,びまん性陽性が最も多く,Grade 0はなかった.腺腫内癌では,16例全例で腺腫部分はCD71低発現(Grade 0, 1, 2)で,高発現はみられなかった.一方で腺癌部分は10例が高発現(Grade 3, 4)だった.CD71は管状腺腫で低発現,管状腺癌で高発現を示し,腫瘍生物学的に同一クローンに由来する腺腫内癌の腺腫部分と癌腫部分でも発現差を示した.CD71免疫組織化学は大腸腫瘍の病理組織診断で補助診断となり得ると考えられた.

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390300833108781312
  • DOI
    10.14930/jshowaunivsoc.84.242
  • ISSN
    2188529X
    2187719X
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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