下顎骨内に迷入したインプラント体を撤去した2症例

  • 吉武 義泰
    医療法人伊東会伊東歯科口腔病院 九州支部 九州支部(九州インプラント研究会)
  • 吉武 博美
    医療法人伊東会伊東歯科口腔病院 九州支部 九州支部(九州インプラント研究会)
  • 成松 生枝
    九州大学大学院歯学研究院口腔機能修復学講座インプラント・義歯補綴学分野
  • 橋口 有真
    九州支部
  • 眞鍋 佳菜子
    九州大学大学院歯学研究院口腔顎顔面病態学講座口腔顎顔面外科学分野
  • 佐々木 匡理
    九州支部
  • 加来 敏男
    九州支部 九州支部(九州インプラント研究会)
  • 松下 恭之
    医療法人伊東会伊東歯科口腔病院 九州大学大学院歯学研究院口腔機能修復学講座インプラント・義歯補綴学分野
  • 伊東 隆利
    医療法人伊東会伊東歯科口腔病院 九州支部 九州支部(九州インプラント研究会)
  • 鮎川 保則
    九州大学大学院歯学研究院口腔機能修復学講座インプラント・義歯補綴学分野

書誌事項

タイトル別名
  • Removal of Implants Displaced into the Mandibular Bone : A Report of Two Cases

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説明

<p>上顎骨と比較して下顎骨は硬く,インプラントの初期固定が得られやすいと考えられている.しかし,パノラマエックス線やCTの画像所見にて,欠損部の骨梁に顕著な透過像が認められなかったにもかかわらず,インプラント体の迷入を経験した.また,他院にて迷入したインプラント体を撤去する機会を得たため,これら2症例について報告する.</p><p>症例1は52歳の女性,低速でインプラントを埋入中に迷入が生じた.印象用のガイドピンを使用し,形成窩から引き上げてインプラント体を撤去した.症例2は35歳の女性,晩期残存した乳歯の抜去後インプラントを即時埋入し,トルクレンチで深度調整中にインプラント体が迷入した.迷入後のCT画像データから3D模型を作製後,下歯槽神経の損傷に配慮した骨削合のデザインを検討し,骨を切り出してインプラント体を撤去した.2症例ともに後遺症は認めなかった.</p><p>術前のパノラマエックス線写真やCTなどの画像所見からインプラント体の迷入を推測できる場合もある.しかし,予測が困難な場合は術中の埋入窩形成時の手指感覚から形成アプローチを勘案することが重要である.迷入したインプラント体の撤去には,埋入窩から取り出すcrestal approachと下顎骨の外側の骨を切離して取り出すlateral approachの2つの方法がある.これらはCT所見からインプラント体と神経の走向関係を把握したうえで適切に選択し,可能なかぎり早い時期にインプラント体の撤去を行うことが望ましいと考える.</p>

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