政治不信と「ズルさ」の感覚

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タイトル別名
  • ポストトゥルース時代の政策理解に向けて

説明

本稿は、政治不信に内包される、公正性への不満である「ズルさ」の感覚に焦点を当て、その実態の把握を試みる。宇野・重田・渡辺(2023)では、日本人にとっての自由は、平等の理念に支えられていて、特に自分より恵まれた人に対し「ズルい」と感じる傾向が強いことが示された。階層意識が低く、政府への信頼が低いものは、この意識を抱きやすい。本稿では人々の抱く「ズルさ」の感覚が、行政の人件費の無駄に対する意識にあらわれていると仮定し、その意識と政治的有効感覚や政治関心、政策選好との関連を明らかにした。NIRA基本調査を分析した結果、「ズルさ」を感じやすい人は、政治的有効感覚が低い傾向が見られたが、政治への関心や政策への理解度とは相関していなかった。さらに、「ズルさ」を感じやすい人ほど、政府への信頼が低いため、政策選好としては低負担低福祉の社会を求める傾向がみられた。その一方で、一定の高負担高福祉を求める意見もあった。その背景として「ズルさ」に敏感で、かつ階層意識が低い人ほど、格差是正を求めていたことを指摘し、政府への期待もあることが明らかとなった。

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390301065238925312
  • DOI
    10.50878/nirawp.8
  • ISSN
    27582183
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用可

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