有害性評価支援システム統合プラットフォーム (HESS) データベースを用いた構造類似度と反復投与毒性におけるNOEL比の相関解析
書誌事項
- タイトル別名
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- Correlation analysis between structural similarities and NOEL differences in repeated dose toxicity with Hazard Evaluation Support System Integrated Platform (HESS) database
説明
<p>反復投与毒性に対する有力な動物実験代替評価手法の一つとして、リードアクロス(RAx)が注目を集めている。RAxは化学構造が類似した化合物の毒性試験結果より評価化合物の毒性を類推する手法である。類似物質の選定にあたっては、化学構造の類似性と化合物の毒性学的特徴の類似性を考慮する必要があるが、それらがどの程度相関するのか定量的に解析された事例は極めて少ない。そこで、本検討では化合物間の構造類似度とPoint of departure (PoD) の一つである反復投与毒性試験によって算出されるNOEL値の比の関係性を網羅的に解析した。</p><p>本解析では有害性評価支援システム統合プラットフォーム (HESS) データベースに収載されている621物質の反復投与毒性試験結果を用いて、全組み合わせ約21万通りのNOEL比を算出した。構造類似度は分子記述子にToxprintを用いて算出し、これらを用いて相関解析を行った。また、構造類似度が高い (構造類似度:70% 以上) にも関わらずNOEL比の大きかった化合物ペアについて、特徴的な部分構造や物理化学的性状の特徴の抽出を行った。</p><p>解析の結果、構造類似度とNOEL比は逆相関することが確認された。また、構造類似度が高いにも関わらずNOEL比の大きかった化合物ペアの特徴としてハロゲン類が抽出された。ハロゲン類を有する化合物を除いて、構造類似度とNOEL比の関係を再解析したところ、構造類似度が高い化合物ペアの中でNOEL比の小さい化合物ペアの割合が増加することが確認された。また、構造類似度が高い化合物ペアにおけるNOEL比は5% tile値で43.9倍、10% tile値で20倍であった。</p><p>以上より、化合物間の構造類似度とNOEL比は逆相関することが示唆され、毒性値の変動しやすいアラート構造や定量的なNOEL値のばらつきが明らかとなった。</p>
収録刊行物
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- 日本毒性学会学術年会
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日本毒性学会学術年会 51.1 (0), P-74E-, 2024
日本毒性学会