ゲルク派における心住の展開――イェシェー・ギェルツェン(1713–1793)と先行する論師の説く止と心の本質について――

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タイトル別名
  • Development of Mental Placement in the Gelug Tradition: Yeshe Gyaltsen (1713–1793) and His Predecessor on the Nature of Mind and Tranquil Abiding

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説明

<p> 止(Skt. śamatha; Tib. zhi gnas)とは,一点集中という高次の精神集中​​であり,これに関してチベットの論師によって多様な文献が著された.そのひとつが,18 世紀にイェシェー・ギェルツェンによって著された手引書である.ダライ・ラマ8世作の長篇のイェシェー・ギェルツェン伝によれば,イェシェー・ギェルツェンはゲルク派で学び,チベット・ツァン地方のタシルンポ寺でカチェン(dka’ chen)という最高の学位を授与され,後に10年以上瞑想生活を送る.69歳から80歳で亡くなるまではダライ・ラマ8世の教師(yongs ’dzin)を務めた.イェシェー・ギェルツェンはゲルク派におけるマハームドラーの論師としても知られている.2011年にsKrun sku bod rig pa dpe skrun khangから出版された短篇の伝記の9ページには,イェシェー・ギェルツェンが仏教の200以上の論題に関して著作を著したことが記されており,その全集は木版で25巻にもなる.</p><p> 止に関する他の文献とは異なり,イェシェー・ギェルツェンの著作で中心となるのは,心の本質という,形而上学的な注意の対象の瞑想を修習することである.本論文では,イェシェー・ギェルツェンが,止の対象である心の本質を瞑想する方法をどのように解説するのかを検討する.そして,その心の本質に対して心の安定(心住)を修養する方法についてのイェシェー・ギェルツェンの教説を考察するとともに,心の安定に関するツォンカパの見解を取り上げ,イェシェー・ギェルツェンや別のゲルク派のマハームドラー論師であるパンチェン・ロサン・チョーキ・ギェルツェンの同様のアプローチと比較する.さらに,イェシェー・ギェルツェンの説く,止を達成するための四つの特徴的な方法も提示する.</p>

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