Construction of Philosophical Argumentation in Śaṅkaramiśra’s <i>Vādivinoda</i>

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  • <i>Vādivinoda</i>における哲学的議論の組み立て
  • Construction of Philosophical Argumentation in Sankaramisra's Vadivinoda

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<p> インド哲学において,議論を構成する推論に関する精緻な考察がみられるのに比して,実際の議論の運用方法に言及する文献は乏しい.本稿では,その貴重な例として,ニヤーヤ学派のウダヤナ(Udayana, ca. 1050–1100)が提唱した議論学の枠組みを確認し,彼の説を継承する新ニヤーヤ学派の学匠シャンカラミシュラ(Śaṅkaramiśra, ca. 15c)が著した議論学書Vādivinodaに焦点を当て,ニヤーヤ学派における哲学的議論の組み立てを分析する.同派において議論の構造化への口火を切ったのはウダヤナであると思われる.ウダヤナはNyāyapariśiṣṭaにおいて「時宜を得ないもの」(aprāptakāla)という敗北の根拠(nigrahasthāna)を説明する中で,議論の段階(pāda),段階の部分,支分(avayava),支分の部分という四つの議論の要素に言及し,その順序の必然性を説く.また,Nyāyavārttikatātparyapariśuddhiでは,論諍展開次第(jalpapravṛttikrama)として同様の順序に言及しつつ,敗北の根拠を指摘のタイミングに依拠して三つに分類した(Cf. 小野2017, 43ff.).彼の議論展開に関する構想は新規性・独自性に富むものであったが,分類や両著作間の対応関係の曖昧さは拭えない.この点は,論諍展開次第について,マニカンタミシュラ(Maṇikaṇṭhamiśra, ca. 13c)がウダヤナ説に近い見解を批判していることからも推察される.シャンカラミシュラにウダヤナ説擁護の意図がどれほどあったかは不明であるが,少なくとも彼はウダヤナ,ヴァラダラージャ,マニカンタミシュラ,ヴァルダマーナらによる議論学の系譜を的確に捉え,ウダヤナの構想する哲学的議論の枠組みを実際の運用に耐えうるものとして組み上げた.すなわち,ステージ(kakṣā)や返上(pratīkāra)という概念を用いて,実際の哲学的議論の展開を例示しつつ,22種すべての敗北の根拠について,ウダヤナの三分類との対応を根拠付けた.とりわけ,文意理解の三要素説との関連で,マニカンタミシュラとシャンカラミシュラとの間に分類上の見解の相違があることを指摘した.</p>

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