前頭洞炎から鼻性頭蓋内合併症に至った 1 例

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タイトル別名
  • A case of rhinogenic intracranial complications by frontal sinusitis

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説明

<p>鼻性頭蓋内合併症は副鼻腔の炎症が頭蓋内に波及した病態であり、時に致命的になり得る。今回われわれは前頭洞炎を契機に広範囲に脳静脈洞血栓症を来した鼻性頭蓋内合併症の 1 例を経験した。症例は 82 歳の女性で、左眼窩周囲発赤腫脹を認め当科紹介となり、造影 CT/MRI で左前頭洞炎とそれに伴う左上眼静脈血栓症、脳静脈洞血栓症を認めた。 抗菌薬の全身投与に加え、脳神経外科へコンサルトし、ヘパリン持続投与を開始したものの改善に乏しく、前頭洞炎に対する内視鏡下鼻副鼻腔手術を施行した。前頭洞ドレナージ後の経過は良好で後遺症なく退院となった。本症例では関節リウマチに対して長期ステロイド投与されており、頭蓋内血栓リスクも高くなっていた可能性がある。ステロイド長期投与例における重症感染症の際は、血栓リスクについても十分念頭におき、鼻性頭蓋内合併症については他科と迅速に連携をとり、副鼻腔ドレナージの機会を逸しないよう治療に当たることが重要である。</p>

収録刊行物

  • 耳鼻と臨床

    耳鼻と臨床 69 (5), 357-364, 2023-09-20

    耳鼻と臨床会

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