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- バイヨウ ヒフ サイボウ ニ オケル タウリン ノ コウカ
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タウリンは、哺乳類の組織に存在する含硫アミノ酸誘導体である。タウリンは皮膚にも存在し、その浸透圧調節作用や抗酸化作用により、皮膚の恒常性維持に重要な役割を果たすと考えられている。これまでの研究で、タウリン投与は加齢、紫外線(UV)等による皮膚機能障害に対して有効であることが示されている。そこで、タウリンの皮膚における作用メカニズムを明らかにするために、3 次元培養表皮および皮膚線維芽細胞を用いて、セラミドやフィラグリンなどの表皮成分および真皮細胞外マトリックスに対するタウリンの影響を評価した。 結果、タウリンは、3 次元培養表皮において、アセトンによる経表皮水分損失(TEWL)の上昇を抑制した。アセトン処理により炎症関連因子であるIL-1a, IL-1b, Interleukin 1 receptor antagonist (IL1-RN) の mRNA 発現が上昇したが、タウリンはこれらの変化に影響を与えなかった。また、3 次元培養表皮では、タウリンはセラミド合成酵素 4(CERS4)および角層の主要な構造タンパク質であるフィラグリンの mRNA 発現を促進させた。皮膚線維芽細胞では、タウリンはインターロイキン-1(IL-1a)刺激によるマトリックスメタロプロテアーゼ-1(MMP-1)の mRNA 発現とタンパク質レベルを用量依存的に阻害した。さらに、タウリンはヒアルロン酸合成酵素-2 (HAS-2) mRNA の発現とヒアルロン酸の産生を増加させた。 本研究の結果、タウリンの皮膚保護作用が表皮バリア成分の増強と真皮細胞外マトリックス代謝の調節に関連していることが示唆された。
Journal
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- Japanese Journal of Taurine Research
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Japanese Journal of Taurine Research 9 (1), 16-19, 2023
Society for Taurine Research