繰り返し経験が手書き文字の見間違いに与える影響

書誌事項

タイトル別名
  • Effect of repeated experience on reading errors of a handwritten letter
  • クリカエシ ケイケン ガ テガキキ モジ ノ ミマチガイ ニ アタエル エイキョウ

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説明

目的:処方箋などの文字の見間違いが重大な事故を引き起こす場合がある.このような文字の見間違いは,思い込みにより作られる可能性がある.なぜなら,人は,同じパターンを繰り返し経験すると以後も同様のパターンが出現するという思い込みを持ちやすいからである.そこで,本研究は,繰り返し経験により作られた思い込みが文字の見間違いを誘発するという仮説を検証することを目的とした. 方法:パーセントがつけられた10個の手書き数字を書き写す実験を2つ行った.実験はそれぞれ2つの条件を含むものであった.すべての条件を通じて7番目の数字は同じものであり,これをターゲットとした.ターゲットは「%」の左側の丸が大きく書かれており,「0」と見誤りやすいものであった.このため,本当は「5%」であったが「50%」と見間違いやすくなっていた.実験1では,ターゲット以外の数字が2桁である条件とすべて1桁である条件を実施した.実験2では2桁と1桁を半分ずつ混ぜた条件(混合条件)を2つ用意した.これら2つは,ターゲットの直前が2桁であるか,1桁である点が異なった. 結果:ターゲットの見間違いは,実験1では1桁条件よりも2桁条件の参加者が多く,また実験2のいずれの混合条件よりも実験1の2桁条件の参加者が多く,1桁条件の参加者が少なかった. 結論:これらの結果により,対象の紛らわしさだけでなく,繰り返し経験により作られた思い込みが見間違いの発生率を高めることが分かった.

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