片麻痺・高次脳機能障害を持つ生活保護受給者の,台東区山谷地区簡易宿泊所への退院支援の取り組み

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説明

【説明と同意】 当院倫理審査委員会にて承認後、対象者に発表の趣旨を説 明し同意を得た。 【症例紹介】 平成25年10月16日脳梗塞発症。11月18日から翌年3月31日 当院入院。64歳、男性。独居。身寄り無し。生活保護受給。 簡易宿泊所3階居住。各階に共同トイレ、1階に共同浴室。階 段のみ。病前生活:日常生活自立。競馬・競艇が趣味。食事 はコンビニと居酒屋。飲酒多量、喫煙40本/日。 【入院時】 Brunnstrom stage上肢2下肢3、重度感覚障害、注意障害 (選択性・持続性・志向性)、情動障害、半側空間無視、構成 障害、左右失認、手指失認あり。車椅子移動遠位監視、平行 棒内歩行・更衣・入浴重介助、トイレ動作軽介助。社交的。 易怒的。歩行や更衣訓練には熱心だが、高次脳機能訓練拒否 あり。Hope:桜の咲くころには歩いて帰りたい。 【取り組み】 大家と関係良好で1階へ転居可能とのこと。屋内移動・セ ルフケア自立から軽介助レベルでの簡易宿泊所退院を目標に 設定。患者の混乱予防・動作自立を目指す為に介助方法・動 作指導を病棟と共有(歩行・更衣・トイレ・入浴)。 【経過】 1月の初回カンファレンス時、屋内移動・セルフケア自立 でなく、大家から受け入れ不可能であると生活保護ワーカー (以下、CW)より話がある。医療ソーシャルワーカーとCW で介護申請・退院先選定を行う。 【退院時】 片麻痺、感覚障害、注意障害(選択性・持続性・志向性)、 情動障害、構成障害残存。車椅子移動自立、T字杖歩行監視、 階段昇降重介助、更衣・入浴軽介助。やむなく区外施設へ退 院。Hope:4か月くらいしたら、あそこ(退院先施設)を出 て台東区に戻りたい。 【まとめ】 在宅復帰困難因子を抱える患者では迅速に、幅広く連携し 予後予測についての意向を共有する必要がある。簡易宿泊所 で生活する身寄りのない要介護患者の退院には、カンファレ ンスに大家を招く工夫など地域で連携を広げることで転帰先 の可能性が広がるのではと考える。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390302956753551104
  • DOI
    10.14901/ptkanbloc.33.0_f-034
  • ISSN
    2187123X
    09169946
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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