緊急帝王切開術後の絞扼性腸閉塞に対して腹腔鏡下腸管癒着剥離術を施行した1例

書誌事項

タイトル別名
  • A case of strangulated bowel obstruction after emergency cesarean section treated by laparoscopic small bowel adhesiolysis

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説明

帝王切開術後の絞扼性腸閉塞はまれであるが,診断が遅れると腸管壊死をきたすため早急な対応が必要である.今回われわれは,腹腔鏡手術によって小腸閉塞の解除を行なった1例を経験したので報告する.症例は40歳2経1妊の経産婦であり,既往帝王切開術後妊娠に対して選択的帝王切開術予定であったが,妊娠37週4日に陣痛が発来したため緊急帝王切開術を施行した.術後3日目の夜間より左側腹部痛が出現し,術後4日目朝に腹膜刺激症状と血液検査で炎症反応を認めた.腹部X線検査で小腸の拡張とニボーを認め,腹部造影CT検査で小腸の拡張と回腸遠位の狭窄を認めた.絞扼性腸閉塞と診断して緊急腹腔鏡下腸管癒着剥離術を施行した.術中所見では子宮底部と腸間膜の間に索状物を認め,索状物により小腸が絞扼していた.腸管虚血には至っておらず,索状物を切離して閉塞を解除して手術を終了した.術後経過は良好であった.産褥期の腸閉塞の半数以上は既往手術による癒着が原因とされている.本症例は腸閉塞を疑い,早期診断ができたため腹腔鏡手術が可能であった.帝王切開術後に限局した強い腹痛を認めた場合には,絞扼性腸閉塞の可能性も考慮して診療にあたる必要がある.〔産婦の進歩77(1):35-39,2025(令和7年2月)〕

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390303033765210752
  • DOI
    10.11437/sanpunosinpo.77.35
  • ISSN
    13476742
    03708446
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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