揉揑手技が筋の伸張性に及ぼす影響

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  • ジュウ揑シュギ ガ スジ ノ シンチョウセイ ニ オヨボス エイキョウ

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説明

【はじめに】あん摩マッサージ指圧の骨格筋伸張性に及ぼす影響に関する研究は圧迫法が多く、揉捏法の検討は少なく、鋸切状揉捏について検討した研究は我々が渉猟した限りみられない。骨格筋の伸張性が向上する作用はスタティックストレッチの機序であるⅠb 抑制があり、筋腱移行部の十分な伸張が必要になる。本来、手技療法では筋線維の長軸への伸張が難しい。我々は筋線維を大きく歪ませることで筋腱移行部が伸張されⅠb 抑制が生じると考え、圧迫法よりも揉捏法による刺激がより骨格筋を歪ませると考えた。本研究では揉捏法の1 つである鋸切状揉捏を採用し、骨格筋の伸張性に及ぼす影響を観察し、骨格筋への揉捏刺激が骨格筋の伸張性を向上させることができるかを検討した。<br>【方法】①研究方法:クロスオーバー方式で実施。②対象:健康成人26 名(男性18 名、女性8 名、年齢21~49 歳、平均年齢32.0 ±8.0 歳)。③施術部位・手技:下腿三頭筋に対し、鋸切状揉捏を実施。④測定項目:筋の伸張性の変化を評価するために介入前後でa. 足関節最大他動背屈関節可動域(Range of motion、以下ROM)、b. 足関節最大他動背屈時の足趾先端から測定板までの垂線の長さ(以下、背屈距離)、c. 足関節最大自動背屈ROM、d. 足関節最大自動背屈距離。⑤統計処理:Wilcoxon の符号付順位和検定。本研究は筑波大学人間系研究倫理委員会東京地区委員会の承認を得て行った(第 東22-120 号)。<br>【結果】本研究では介入群の介入前後の比較で他動による足関節最大背屈ROM と背屈距離において数値が向上する有意な改善(p<0.05)がみられた。<br>【考察】足関節背屈の制限因子の可能性がある下腿三頭筋に鋸切状揉捏を行うことで、下腿三頭筋の筋腹だけでなくアキレス腱の伸張が促され、足関節背屈関節可動域を向上させる可能性が示唆された。

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