日本手話学習者(M2L2学習者)の音韻知覚に関する予備的研究:M1L2者と比較して

書誌事項

タイトル別名
  • A Preliminary study of phonological perception in adult M2L2 learners of Japanese Sign Language: Comparison with M1L2

説明

<p> 本稿は、日本手話を第二言語として学習している成人聴者(M2L2学習者)が、日本手話の音韻についてどのくらい正確に知覚しているかを調査し、日本手話指導の一助となることを目指した予備的研究である。日本手話学習者83名および、比較対象として、日本手話学習経験のない香港手話を母語とするろう者(M1L2者)4名に、手話の音韻パラメータである手型・動き・位置・手の向きそれぞれミニマルペア1単語を含んだ対立文および、対立しない「同じ」文(手話動画)計36対を見せ、各対の文が同じかそうでないかを判別してもらった。その結果、日本手話学習者グループの平均正答率(61%)が、香港手話母語話者グループの平均正答率(77%)を下回った。また、4つの音韻パラメータのうち、日本手話学習者グループの正答率が最も低かったものは手型であり、手の向き-動き-位置の順に正答率が上がった。一方、香港手話母語話者グループは、動きの正確な認知が最も困難であり、続いて手型-手の向き-位置の順に正答率が上がるという結果であった。調査の結果から、習得しようとする言語のモダリティが自身の第一言語と異なる場合には母語からの転移が起こりにくく、同じモダリティ言語と比べて音韻の知覚が困難であることが分かった。M2L2学習者の手話の音韻習得には、意識的な指導や学習が必要であることが示唆された。</p>

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390303498400749440
  • DOI
    10.69258/jsslslrskgu.2.0_23
  • ISSN
    2759355X
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用可

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