初期研修医に対して動画と簡易シミュレーターを用いた冠動脈造影指導の有効性

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タイトル別名
  • Effectivity of Teaching Coronary Angiography to Junior Residents Using Movie and a Homemade Simulation

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説明

<p> 背景:循環器内科において,冠動脈造影はすべてのカテーテル検査ならびにカテーテル治療の基礎になるともいえる.しかし体系的な指導方法は確立しておらず,専用シミュレーターは非常に高額である.<br>  対象と方法:2022年7月から2023年6月までの1年間に循環器内科をローテーションし,本研究に賛同を得た14人の初期研修医を対象とし,動画を用いた座学と手製の簡易シミュレーターを用いた実技訓練を実施した.その後,穿刺からシース挿入,左冠動脈造影,右冠動脈造影に分けて手技の成否と手技時間を計測した.<br>  結果:全冠動脈造影76件中,除外基準に該当しなかった合計68件の調査を行い,そのうちシース挿入から両冠動脈造影まで一人で完遂できた症例は57件(83.8%)であった.シース挿入の成功件数は58/68件(85.3%),左冠動脈造影の成功件数は63/68件(92.6%),右冠動脈造影の成功件数は63/68件(92.6%)であった.合併症は1件(1.5%)に確認されたが重篤な合併症は認めなかった.完遂症例での手技時間について,中央値は23(19-30)分であった.1年目研修医と2年目研修医でそれぞれ比較したところ,手技完遂率は86.5%と75.0%(p=0.272),完遂例の手技時間は24(20-30)分と20(17-25)分(p=0.090)であり,1年目研修医のほうが時間を要している一方で手技完遂率が高い傾向がみられたが,統計学的有意差はみられなかった.<br>  結語:動画と簡易シミュレーターを用いた冠動脈造影の指導は,簡便でどの施設でも実施可能であり,安全でかつ初回から高い遂行率を示すことができた.</p>

収録刊行物

  • 心臓

    心臓 56 (4), 377-384, 2024-04-15

    公益財団法人 日本心臓財団

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