分子擬態を利用した寄生蜂の移動性卵による宿主組織への侵入

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タイトル別名
  • Intercellular Migration among Phylogenetically Distant Host Cells by an Ameboid Embryo of a Parasitic Wasp
  • ブンシ ギタイ オ リヨウ シタ キセイバチ ノ イドウセイラン ニ ヨル シュクシュ ソシキ エ ノ シンニュウ

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抄録

<p>生活環のほとんどを他の昆虫体内で過ごす内部寄生蜂は,それぞれの宿主に適応するため驚くべき進化を遂げている.本稿で扱うキンウワバトビコバチCopidosoma floridanumは宿主卵,そして孵化した宿主幼虫の中で生き延びるために,進化的にバリエーションが少ないはずの初期発生を大幅に変更し,卵割後,アメーバ様に移動できるステージを獲得した.この移動性の寄生蜂胚は宿主細胞に自己と誤認させ,宿主胚の胚発生に伴う細胞移動に便乗し,その細胞間を通って宿主胚体内に侵入する.孵化した宿主幼虫体内で寄生蜂胚は,宿主細胞の臓器を保護する宿主由来の嚢組織(cyst cell)で周囲を覆わせて宿主免疫を回避するだけでなく,酸素を得るため宿主に気管を形成させていた.本講座では,共焦点レーザー顕微鏡および透過型電子顕微鏡を用いて一連の現象を明らかにした経緯と,分子擬態に関与する分子機構の一部について紹介する.</p>

収録刊行物

  • 顕微鏡

    顕微鏡 49 (1), 47-52, 2014-04-30

    公益社団法人 日本顕微鏡学会

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