有機系フォトンアップコンバージョン材料の新戦略

  • 楊井 伸浩
    九州大学 大学院工学研究院応用化学部門 分子システム科学センター(CMS) 国立研究開発法人科学技術振興機構さきがけ
  • 君塚 信夫
    九州大学 大学院工学研究院応用化学部門 分子システム科学センター(CMS)

書誌事項

タイトル別名
  • New strategies for organic photon upconversion materials
  • ユウキケイ フォトンアップコンバージョン ザイリョウ ノ シン センリャク

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抄録

<p>フォトンアップコンバージョン(UC)は,全ての太陽エネルギー利用技術を高効率化し,また新しいバイオイメージングや光線力学療法をもたらす方法論として期待されている.この中でも太陽光のような低強度の励起光を利用できる3重項‐3重項消滅(TTA)機構に基づくUC(TTA-UC)は,用いるドナーとアクセプタの組み合わせを変えることで多様な波長変換に対応可能なことから興味を集めている.しかし,応用上非常に重要な近赤外光から可視光へのUCや可視光から紫外光へのUCは達成が困難であり,新たな戦略が求められていた.これらが達成困難な原因の1つは,3重項の増感剤(りん光性材料)が励起1重項から3重項に系間交差(ISC)する際にエネルギーを失うことにあった.そこで最近の研究において,このISCのエネルギーロスが小さい,もしくはISCを伴わない新しいタイプの3重項増感剤が開発され,これまで困難であった波長域のUCを達成できつつあるので紹介したい.</p>

収録刊行物

  • 応用物理

    応用物理 86 (4), 294-299, 2017-04-10

    公益社団法人 応用物理学会

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