ホルスタイン種経産牛における悪露の色とその後の子宮内膜炎罹患との関係

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タイトル別名
  • Association of the color of lochia with risk of developing endometritis in Holstein cows

抄録

<p>【目的】乳牛における子宮内膜炎診断は分娩後5週以降での実施が一般的である。一方,より早期に罹患リスクを予測し,対策を講じることができれば,その後の繁殖成績を向上させることが期待できる。そこで本研究では産褥期の子宮内環境の指標として悪露を用い,悪露の色とその後の子宮内膜炎罹患との関係性を調査した。【材料と方法】大分県内の一酪農場にて繋養のホルスタイン種経産牛29頭を供試し,分娩後2日,5日,1週(分娩後11±3日)および2週(分娩後18±3日)の悪露を採取,デジタルカメラにて撮影し,その色をRGB解析した。RGB解析では,R値,G値,B値,計3つの値の二乗の和の平方値を濃淡指数(0〜441:0が黒,441が白)とし,255からR値を除した値,G値,B値の3つの値の二乗の和の平方値を赤色指数(0~441:0が赤)とした。また,分娩後2日における悪露の腟内貯留の有無で貯留群(n=22)と非貯留群(n=7)に分類した。なお,貯留群は赤色指数の中央値(182.7)を閾値とし,これより低いものを赤色群,高いものを非赤色群とした。分娩後2日に直腸温が39.3℃以上の個体を産褥熱と診断,分娩後5週(分娩後36±3日)にサイトブラシを用いて子宮内膜細胞診を行い,多形核好中球浸潤度(PMN%)が6以上の個体を子宮内膜炎と診断した。得られたデータより,悪露の色とPMN%および子宮内膜炎罹患との関係を解析した。【結果】赤色群の45.6%(5/11),非赤色群の9.0%(1/11)の個体が産褥熱と診断された。PMN%は貯留群が7.7±1.9(平均±SD)と,非貯留群の2.4±0.9より高かった(P<0.05)。また,分娩後2週における濃淡指数とPMN%は正の相関(r=0.538,P<0.05)を示した。【結論】分娩後2日における悪露の色や貯留の有無が分娩後5週の子宮内膜における炎症度と関係していることが示唆された。また,分娩後2週における悪露の濃淡指数とその後の子宮内膜炎罹患のリスクとの関連が示唆された。</p>

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390564227310902016
  • NII論文ID
    130007719259
  • DOI
    10.14882/jrds.112.0_or2-25
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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