ほ乳類の核にはクマムシ並みの極限環境耐性がある
書誌事項
- タイトル別名
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- Tolerance of the freeze dried mouse sperm nucleus to temparature ranging from -196C to 150C
説明
<p>【目的】哺乳類は高温や乾燥などの極限環境にさらされると,ほぼすべての個体は死んでしまう。しかし,フリーズドライ精子(FD精子)は完全に乾燥し,死んでいるにもかかわらず顕微授精により産仔を得ることが可能である。一方,乾眠することで究極の耐性を得るクマムシにも同じように乾燥耐性があるが,さらにそれらには耐熱耐性も備わっている。そこで我々はFD精子にも同じ性質があるかを検証するために様々な温度処理を行い,極限環境耐性能を調べた。【方法】①急激な温度変化に対する耐性を調べるためにFD精子を液体窒素へ浸してから室温に戻す処理を10回繰り返した。②FD精子を30分間,65℃,80℃,95℃に曝すことで,100℃以下の温耐性を調べた。③95℃加熱処理の限界時間を検討した。④100℃以上の高温での限界温度を検討した。FD精子はそれぞれ核のDNAダメージを調べた後,顕微授精による産仔率を比較した。【結果】①FD精子を液体窒素へ10回浸しても顕微授精により多数の産仔が得られたことから急激な温度変化に対して耐性があることが示された。②新鮮精子の場合卵子へ活性化処理を行っても65℃加熱が産仔を得られる限界だったのに対して,FD精子の場合,95℃処理でも出産率に影響がなかった。③焦げの原因となる糖をトレハロースに変更したところ,最長で6時間,95℃に加熱し続けた精子からでも産仔を得ることに成功した。④100℃以上の耐性は,120℃であれば10分間,150℃であれば3分間加熱処理した精子からでも産仔が得られた。同様な耐性は他の系統でも観察された。【考察】哺乳類の細胞は急激な温度変化や高熱により死んでしまうため極限耐性はないと思われていた。しかし本実験によりFD化すれば,クマムシに匹敵するほどの強い熱耐性があることが分かった。このことから,フリーズドライ精子は火事や災害などの有事の際でも動物の遺伝子資源として有効な方法と言えるのではないだろうか。(Wakayama S et al., Sci. Rep. 2019)</p>
収録刊行物
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- 日本繁殖生物学会 講演要旨集
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日本繁殖生物学会 講演要旨集 112 (0), P-120-P-120, 2019
公益社団法人 日本繁殖生物学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390564227314275840
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- NII論文ID
- 130007719243
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可