脳画像が明らかにしたECTの奏功機序

  • 高野 晴成
    国立精神・神経医療研究センター脳病態統合イメージングセンター 臨床脳画像研究部

書誌事項

タイトル別名
  • Mechanisms of action of electroconvulsive therapy revealed by brain imaging
  • ノウ ガゾウ ガ アキラカ ニ シタ ECT ノ ソウコウ キジョ

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抄録

電気けいれん療法(ECT)は確立された治療法ではあるが,作用機序に関しては未解明である。核磁気共鳴画像(MRI),陽電子断層撮像法(PET)などの脳画像はECTの研究にも用いられている。我々はPETと15O-H2Oを用いて,ECTを施行中のうつ病患者の脳血流を経時的に測定した。その結果,全般性けいれん発作最中には,特に脳幹や間脳,基底核,側頭葉内側部で顕著な脳血流の増加がみられ,発作の全般化と中心脳(脳幹および間脳)およびECTの作用機序との関連が示唆された。また,発作後の脳血流は前頭部で低下し,発作後抑制を反映していると考えられた。また,ECTは神経可塑性を促進し,最近のメタ解析は1コースのECT後にはMRIで海馬容積の増加を示している。近年,海外では磁気けいれん療法(MST)の臨床研究が進められている。ECTもMSTも作用機序を推測しながら,より最適な方法を模索することが重要である。

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