血友病保因者女性への医療ケア

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タイトル別名
  • Medical care for carriers of hemophilia
  • —carrier testing, carrier check-up and perinatal management
  • ―保因者診断・健診と周産期管理

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抄録

<p>近年,血友病患者に対する医療は飛躍的に進歩した.しかし,一方のX染色体のみに血友病の病因遺伝子を認める女性(保因者)のなかで血友病診断基準を満たす例は20%以上ともいわれるのにも関わらず,保因者への医療ケアの普及は遅れている.保因者診断は従来,次世代の血友病リスクの評価が主目的で実施されており,自施設でも女性親族が凝固検査を受けた血友病患者は20%にとどまっていた.保因者を出血から守るためにも保因者とその疑いのある女性親族には凝固第VIII(FIX)因子活性の測定がなされるべきである.周産期管理については血友病周産期管理指針にあるように各分野の連携が重要である.分娩様式は児の頭蓋内出血(ICH)が経腟分娩より選択的帝王切開で有意に少ないという報告があるが,帝王切開でもICHリスクはゼロではなく,母体の出血リスクもある.現状では十分な説明を行って家族と相談し,ケースごとに判断することが求められる.医療者が妊婦を保因者と認識しているだけで血友病児の新生児期ICHは減少するともいわれ,この点からも保因者に対する積極的なアプローチが望まれる.女性親族を受診につなげていくため,医療者が患者姉妹と幼少期から関わっていくことが一助となりえる.また,保因者診断のみにとらわれず最新の知識の共有や心理的ケア,メディカルチェックを受けられる保因者健診という新たな受診のかたちが理想的であると考える.</p>

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