草山利用の歴史的変遷:岡山県蒜山地域を事例として

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タイトル別名
  • Historical transition of Usage of “KUSAYAMA" : Case Study of Hiruzen area Okayama Prefecture

抄録

<p> かつては日本の多くの場所では草山で採れる資源が生活に欠かせないものであったことから、その多くが共有財産として地域コミュニティによって共同管理されてきた。本研究の調査地である岡山県蒜山地域においても例外ではなく、草山は集落が管理する場所として現在まで維持されてきた。一方で、草山の利用目的や方法は各時代の人間の経済活動や社会状況と密接に関わりながら変化してきた。たとえば、近世の入会論争では草山から木山に変化したことによる集落間の論争のいきさつが記録されている。また、近世から近代にかけては、たたら製鉄の禁止、換金作物(タバコ)栽培の隆盛、牛馬の飼養頭数の変化などのできごとがあり、近代では軍馬の放牧場や陸軍の演習場として利用されるなど、その時々で草山の利用にも変化が生じていた。草山の利用方法も一様ではなく、明治期の集落間の取り決めによると、笹刈りはいつの時期であっても差し支えないが、柴草刈りは毎年旧暦の5月節句の10日前からと草山の利用開始時期が植生により異なることが示されている。このように里山と草山の利用は近世から近代にかけて変化し、それにより植生構造にも影響を及ぼしていたものと推察される。</p>

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390564237988734080
  • NII論文ID
    130007376360
  • DOI
    10.11519/jfsc.129.0_750
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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