アフリカの「癌」としての汚職理解を超えて

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タイトル別名
  • Beyond Corruption as “Cancer”:
  • ─「公」の概念とその動態性への着眼─
  • An approach to “public” concept and its dynamism

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説明

<p>現況において全世界的に推進されるグッド・ガバナンスの議論の中で,汚職はアフリカにとって排除すべき「癌」として広く認識されている。他方で,汚職を単に是正すべき対象として考えるのではなく,汚職という概念そのものの意味を問い直し,あるいは汚職状況の是正を促す我々の言説自体の見直しをも強いる研究も少なからず存在する。本稿は,このような研究群を概観し,汚職というイシューに関する分析が必要とする複雑性を改めて提起するとともに,筆者自身の今後の研究課題を提示するものである。</p><p>具体的には,代表的な先行研究を紹介しながら,本稿はこうした研究群を(1)アフリカ特有の価値体系を措定し汚職を捉え直すもの(文化・規範的観点),(2)汚職への関与の実態を人々の日常的な生活の文脈から観察するもの(日常的観点),(3)全世界的な反汚職政策や,汚職自体に関する認識枠組み自体を問い直すもの(ポスト・コロニアル的観点)の3つに大別した。その上で,法と慣習的なモラルという,しばしば対立する異なる「公」の概念に対して,アフリカの人々がいかにして今後向き合うのか,という研究課題を提示した。</p>

収録刊行物

  • アフリカ研究

    アフリカ研究 2017 (91), 39-46, 2017-05-31

    日本アフリカ学会

参考文献 (9)*注記

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