渡良瀬遊水地における繁殖期のサンカノゴイ雄の減少

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書誌事項

タイトル別名
  • The declining abundance of Great Bittern during the breeding season at Watarase Marsh

抄録

<p> サンカノゴイBotaurus stellarisの雄の確認個体数の変動を明らかにするために,栃木県南部の渡良瀬遊水地で2008年から2017年の3月下旬から6月に,声に基づいた生息調査を実施した.遊水地の3つの調節池を通る全長15kmのコースを設定し,おもに日の出前2時間から日の出後1時間の間に声の有無を記録した.サンカノゴイの雄は毎年1-5羽が記録されたが,年とともに有意に減少し,2013年以降は1-2羽のみとなった.第1調節池では最高4羽が記録され,記録回数を調査回数で除した生息確認率は他より高かった.雄の確認地点の滞水湿地の面積は,多くが2ha以下と狭く,水深は20cm以下と浅かった.遊水地は1500haがヨシやオギの高茎植物で覆われているが,水の多いヨシ原は著しく少ない.そのため,サンカノゴイの生息地としてはあまり適していないと考えられた.一方で,2016年と2017年に雄1羽が湿地再生事業で新たに掘削された池で記録された.湿地再生事業による新たな池の造成は,本種の新たな生息環境の創出に寄与すると考えられた.</p>

収録刊行物

  • Bird Research

    Bird Research 14 (0), A13-A22, 2018

    特定非営利活動法人バードリサーチ

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390564237990032640
  • NII論文ID
    130007382839
  • DOI
    10.11211/birdresearch.14.a13
  • ISSN
    18801595
    18801587
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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