ハイリスク女性に対する検診の勧奨

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タイトル別名
  • Recommendation of Breast Cancer Screening for High-risk Women

抄録

国立がん研究センターは日本でがんの罹患数と死亡数の当年予測を発表した。2014年の女性乳癌罹患数は86,700人,死亡数は13,400人と予測した。罹患数は以前の予測をはるかに超えて増加している。女性乳癌のhigh risk group を同定し,検診の勧奨と予防に寄与すべく症例対照研究を行った。 2014年3月までに当院で手術を施行した原発乳癌4,070例(閉経前1,703例,閉経後2,367例)をcase,乳腺疾患のない当院外来受診者4,711例(閉経前2,604例,閉経後2,107例)をcontrol としてcase-control study を行った。また家族性乳癌の特徴の1つとして若年発症が挙げられており,35歳未満(case:155例,control:816例)についても検討した。解析はSAS9.2(SAS Institute. Inc.)を使用し,年齢matching によるconditional logistic regression 法により行った。 有意のあった項目についてStepwise 法による多変量解析を施行し,high risk group を選定した。検診推奨者は以下のとおりである。 (1)35歳未満のhigh risk group:1.良性乳腺疾患の既往がある者,2.初潮が11歳以下と早い者,3.乳癌の家族歴がある者,4.独身 (2)閉経前:1.未産の者,2.乳癌の家族歴がある者,3.良性乳腺疾患の既往がある者,4.初潮が11歳以下と早い者,5.痩せの者 (3)閉経後:1.未産の者,2.初潮が11歳以下と早い者,3.身長が160cm 以上と高い者,4.乳癌の家族歴がある者,5.BMI が18.5未満と痩せの者および25.0以上の肥満者 肥満および痩せは改善可能であるが,初潮年齢などの宿主要因は変更できないものが多く,乳癌の予防は困難である。したがって,検診による早期発見により,癌による死亡を減少させる必要がある。

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参考文献 (14)*注記

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