3D structure of Susobana river valley outflow jet in Nagano city observed by Doppler lidar (Part 2)

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  • ドップラーライダーにより観測された長野市裾花川谷口ジェットの立体構造(その2)

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1.はじめに<br> 主に晴天夜間に,長野県長野市の裾花川谷口から長野市街地へ吹走する強い山風がしばしば発生する.その詳細な立体構造や時間変化等を理解するため,2017年10月8~9日に2台のドップラーライダー(以降DL)やGPSゾンデ等による集中観測を実施した.本稿では,地上に設置されたDLの観測結果から,谷口ジェット層の厚さや時間変化について調査した結果を報告する.なお,全体の観測概要については中村ほか(2018)を参照されたい.<br>2.ドップラーライダー観測<br> 三菱電機株式会社製の可搬型DL(LR-S1D2GA)を長野商業高校グラウンド(長商;標高390m)に設置した.谷口ジェットの鉛直分布を調べるため,裾花川谷口と観測点を結ぶ線にほぼ沿った北西(方位角306.3°)および南東(126.3°)方向にRHIスキャンを行った.RHIスキャンの走査速度は2.0°/sとした.また,仰角90°の測定により鉛直風を観測した.なお,仰角90°測定は走査速度6.0°/sのPPIスキャンとし,1回のスキャンで得られるドップラー速度計40データを各高度で平均を取り鉛直風とした.全てのスキャンの距離分解能は30 m,最大観測距離は630 mとした.これらのスキャンを1セットとして10分毎に繰り返し観測を行った. 3.結果および考察<br> 第1図は,RHIによる8日21時台のドップラー速度の平均値を示す.全体として北西側が負,南東側が正となっていることから北西風であり,地上50 m付近では4~6 m/sの山風が吹いていることがわかる.浜田・一ノ瀬(2011)によれば,山風時の平均風速は5 m/s程度であり,本事例では標準的な山風が出現していたと思われる.第1図では,観測できた高度約250 mまで北西風成分であるが,山風成分の厚さは時間変動が見られた.第2図に風向の時間-高度断面を示すが,山風が吹走したと見られる9日3時までの間,北西風成分が卓越する層は最大で地上から250~300 mまでとなっている.しかし時間帯によっては,北西風層が高さ100 m程度まで薄くなっており,およそ1~2時間程度の周期での層厚変動が見られた.第3図は,領域B(地上高50~75 m)で平均したドップラー速度の時系列であるが,観測日の山風は8日21時頃をピークに徐々に風速が減少するものの,9日3時頃まで継続した.また,風速には30分程度の周期の変動成分が見られるが,地上高180 mにおける上昇風(第3図破線)を見ると類似した周期の変動が見られ,両者は逆相関な傾向が見られる.波動や跳ね水等の影響を受けている可能性があるが,さらなる解析が必要である.

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Details 詳細情報について

  • CRID
    1390564237994238592
  • NII Article ID
    130007412127
  • DOI
    10.14866/ajg.2018s.0_000318
  • Text Lang
    ja
  • Data Source
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • Abstract License Flag
    Disallowed

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