白滝ジオパークと北海道遠軽高等学校の教育

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書誌事項

タイトル別名
  • Shirataki Geopark and Education of Hokkaido Engaru High School
  • 学校開設科目「オホーツク風土研究」の教育実践と町民開放講座
  • Educational Practice of a School Designated sSubject, “Study of Regional Nature and Culture of Okhotsk Hokkaido”, and Lecture Open to Local Citizens

抄録

1.はじめに<br><br>「オホーツク風土研究(遠軽高校学校開設科目)」は、2011年から遠軽高校が単位制高校にかわることをきっかけにスタートした科目である。科目開設にあたって、2008年より構想を練り、2012年まで「ホーツクの風土」について事前調査を重ねた。実際の開講は、2013年(対象生徒は3年生科目選択生徒)である。開講までの準備段階として、いかにして地域と連携するかを考えた。「官・民・学」「産・官・学」の連携である。また2010年度から毎年、学年対象に年3回(学年別各1回)の「ふるさと学」講演を遠軽町総務部ジオパーク推進課と連携し実施した。これは、風土研究開講まで3年間で9回の講演・講義を企画することで、「白滝ジオパーク」を風土研究の柱に据えようとする試みだった。2008年から構想を練り、2013年開講、その間の2010年に「白滝ジオパーク」が日本ジオパークとして認定された。<br><br> <br><br>2. 北海道遠軽高校と「オホーツク風土研究」<br><br> 北海道遠軽高等学校は2017年度現在、全日制普通科5間口の単位制高校である。定員は各学年200名、在籍生徒数は527名で、同時に定時制課程も併設している。オホーツク海側に位置し、オホーツク管内では進学校として位置づけられている。「文武両道」の学校で生徒の7割が進学、部活動も数多く全国大会に出場している。<br><br>「オホーツク風土研究」とは、2単位年70時間(2時間連続×35コマ)の総合科目である。オホーツクの自然・文化・地理・歴史、その他を総合した風土を学ぶ科目である。担当教諭も多岐にわたり、地理歴史科・英語科・理科・商業科などから5~6名の教諭・実習助手等で構成されている。開講以来の受講生徒数は2013年39名、2014年48名、2015年47名、2016年23名、2017年47名で、受講希望生徒が多く70名を超える年もあった。授業内容は、①遠軽町総務部ジオパーク推進課、遠軽町教育委員会、北海道教育大学旭川校、遠軽考古学同好会との連携による「白滝ジオパーク講座」(年7~8回の講座を開講、丸1日の巡検を2回含む)、②「オホーツクの風土」に関連する講演、講義、実習(年10回程度)、③年間5~6回の巡検、④生徒の年間個人テーマ、グループテーマ(8~10グループ)学習を柱にしている。<br><br> <br><br>3.「オホーツク風土研究」主な内容<br><br> 各講座、実習等の主な内容を記す。①ジオパーク講座:丸瀬布巡検(林業と森林鉄道)、高校周辺ミニ巡検・白滝赤石山巡検・黒曜石の作り方、ヒグマの生態、アサマシジミなど希少種の生態、北海道内外の黒曜石産地と宝石としての黒曜石の魅力等。②主な講演:遠軽町の沿革と日本近代史、遠軽の観光と歴史、遠軽教会、合気道開祖植芝盛平物語(合気道の演武を含む)、湧別屯田兵村、鴻之舞金山、北の王金山栄枯盛衰、常紋トンネル、薄荷物語、北限の上湧別リンゴ、上湧別のチューリップ他。③主な巡検:白滝赤石山、丸瀬布森林鉄道雨宮21号、北海道家庭学校、遠軽教会、街中写真撮影他。④作業学習・実習:石器作り教室、入植時代の屯田兵食、地元料理バタバタ焼き等。⑤新聞切抜作業、担当教員の研究発表、⑥学校祭でオホーツク風土研究写真展、学年での研究発表、個人研究のまとめ、「オホーツク風土研究」報告書の作成である。<br><br> <br><br>4.社会教育<br><br> 遠軽高校での「オホーツク風土研究」とほぼ同時に、白滝小学校では「石育」という講座が展開され、遠軽町内の各小中学校でもジオパークに関する取り組みが行われている。2017年5月から遠軽高校定時制の協力の下、「オホーツクの風土:ふるさと学」が遠軽町民開放講座として、毎週木曜日19:00~21:00まで年間20講座開催された。また、遠軽町郷土館でも年10回小中高生の為の「ふるさと学」講座が開催、講座参加生徒数は350名に及ぶ。<br>その他、地元老人クラブの勉強会、地元企業の新人研修会、えんがるウォーク、まちブラ等の企画で65名、北海道縄文の町連絡会での街中巡検で30名が参加するなど、小中高連携、町民参加型の「オホーツク風土研究」、「ジオパーク講座」が展開されている。

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390564237995090688
  • NII論文ID
    130007411869
  • DOI
    10.14866/ajg.2018s.0_000080
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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